医療スタッフの実情を知っておく

病院や介護施設といえば、医師や看護師などの専門スタッフがいて、安心して信頼できる場所、治療してもらえる場所としてとらえている方が多いのではないかと思います。

専門の知識を持っていないわれわれにとっては、専門知識を持ったスタッフは病気やけがなど、心細い時にとても心強い味方になってくれます。

もちろん大多数の施設は患者さんのために一生懸命働いている方ばかりだと思います。

しかし、時として「To Err is Human」と言われるように、医師や看護師など医療スタッフもミスを犯す時があります。

医療スタッフも人間です。

しかし、間違いを起こすことはあったとしても、それをなかったことのようにすることは許されることではありません。

残念なことにそのようなことは過去、そして今でも多く起こっています。

ここでは国際的な事例を含めた医療事故や不祥事などについてご紹介したいと思います。

まずは、アメリカで起こった事件です。

ダナ・ファーバー事件(1994年)と呼ばれるもので、がん化学療法剤を通常の4倍も投与されてしまったために医療ジャーナリストの女性が死亡してしまったという事故が起こりました。

これについて、ダナ・ファーバーがん研究所は、原因を突き止め、実際に処置を行った人に処分を科しています。

日本では、1999年横浜市大患者取り違え事件がありました。

心臓手術と肺手術の患者を手術室で取り違えてしまうという間違いが起ったこの事件では、業務上過失傷害の罪に問われた医師と看護師計6人に対して、罰金刑が言い渡されています。

日本看護協会ではいち早くこの事件について声明を発表していて、病院全体の管理システムの見直し、勤務体制・看護業務指針の再点検、事故防止対策の周知,職員への啓発などを提案しています。

この事件をきっかけに、日本では医療事故報告制度(2001年)が設けられ、過去20年で医療安全に対する医療従事者の意識はとても変化しています。

今では全国で医療安全に関するセミナーが開催されおり、医療従事者は日々勉強を重ねているといいます。

このような努力をしている医療従事者がたくさんいる中で、悲しくもそのような人に傷をつけてしまう人たちもいます。

医師でありながら、患者さんのための注射薬を自分用に使用したり、患者さんを虐待していたりとニュースで見聞きした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

病院での不祥事が次々に起こっている

最近は、医療安全に対して、様々な対策が取られるようになりましたが、医療行為以外にも病院内では通常では考えられないことが行われていたといいます。

これは病院としてではなく、人としてどうあるべきかを考えるべき事件とも言えます。

ある病院で2009年に、診療報酬を稼ぐために患者さんに不要な治療や検査を長年にわたって繰り返し、診療報酬の不正請求をしていたことがわかりました。

診療報酬とは、保険証を提示したうえで行われる医療行為などの対価として払われる報酬のことです。

健康保険に加入している人であれば、保険証を見せると、医療機関では3割程度で医療を受けることができると思います。

残りの7割は国に申請すればその残りの報酬を受け取れる仕組みになっています。

病院の理事長であり、医師の男性は、生活保護受給者の診療報酬を不正に受給した疑いで詐欺容疑で捜査を受けました。

ここでは、生活保護を受ける患者に手術をしたように偽装し、診療報酬をだまし取ることにより、総額約1千万円の診療報酬を受け取っていたことがわかっています。

この診療報酬は私たちの税金から払われるものです。

また、似たような架空請求が長年にわたって行われていて、日常的にカルテの改ざんなどが行われていたものと思われます。

この他にも同病院では患者さんたちを騙し、不要な手術を行うことを承諾させて手術代を騙し取り、さらには不適切な手術と処置で患者を死亡させたこともあったといいます。

首謀者が理事長という施設のトップということで、医療行為を強要された医師や、看護師もいたということで、上に立つ人の人格がどれほど下で働く人達に影響を与えるかということもわかったのではないでしょうか。

この事件で、理事長兼院長は有罪判決を受け、その後この病院は閉鎖、破産手続きを行っています。

これは医療に携わる人として利益しか見ていない卑劣な行為です。

このような不祥事は、悲しいことに病院全体だけでなく、病院で働くスタッフ個人でも起こっていることだといいます。

特別な技術を持った人たちだからこそ、それ相応の人格が必要なのかもしれません。